映画「ゴーン・ガール」
ギリアン・フリンの大ヒットしたサスペンス・ミステリーの映画化であり、サイコサスペンスを描くのであればこの人に右に出る人はいないだろう鬼才デヴィッド・フィンチャーが描く、現代の夫婦の抱える秘密を暴くサイコロジカルスリラー。
ミズーリ州の片田舎に暮らすニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)は誰もがうらやむ夫婦のはずだったが、結婚5周年の記念日に突然エイミーが行方をくらましてしまう。警察に嫌疑を掛けられ、日々続報を流すため取材を続けるメディアによって、ニックが話す幸せに満ちあふれた結婚生活にほころびが生じていく。ニックの理解不能な行動や様々な証拠から、次第に世間はエイミー殺害疑惑の目を向ける。
メディアの印象操作の作品だと「白ゆき姫殺人事件」を思い出し、改めて湊かなえって凄いわと思える。だが、この作品は印象操作だけではなく、本人たちが起こした行動、そして人に言えない言動ががどんどん悪い方向に進んでいく。日本人では理解しがたい部分がある点も前述の「白ゆき姫殺人事件」と比べても楽しめるポイントだ。
また散々な伏線からの大逆転劇は騙される側に非常に心地よいものになっている。観ていた自分も、もう間違いない。ここから結論をどう持ってくるんだ?と思っているところからの逆転だから、そりゃキョトンとした顔にもなる。
しかし最後のエンディングを迎えるころには、心情的に納得いかない部分があるものの、その大逆転劇は見事に腹に落ちていて、素晴らしいと唸ってしまう。
原作も読んでみると面白いといわれて、原作上・下巻の上巻を読んだが、テンポが悪くなかなか下巻に手が出ない。それくらい映画が良い作品になっていたという点でもデヴィッド・フィンチャー監督の手腕に拍手を送りたい。
デヴィッド・フィンチャー監督の手腕と言えば、映画館で流れていた名曲「SHE」を使ったこの作品の予告編も監督自身の手で作成されたそうだ。良い意味でこのCMにも騙された。youtubeにも流れているので、併せてみることをお勧めする。
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